演歌は傍流と言われた時期があったし、今もそうした目で見る人もいる。大手レコードメーカーの演歌部門の縮小、CD離れ、相次ぐCDショップの閉店、等々がそうした背景にある。しかし、ここ数年演歌・歌謡曲が元気を取り戻している、といわれている。元気なのは市場ではなく日々第一線で活躍している歌手たちの懸命な頑張りにある。閉店に歯止めがかからないCDショップの店頭販売より、全国行脚をしながらカラオケサークルやカラオケ喫茶などでCDやテープを自ら売り込む情熱があるからだろう。中でもCDショップの閉店は業界にとって大きなマイナスであり、イメージダウンでもある。演歌の土壌がどこよりもある、言われている大阪も例外ではない。昨年は大阪府下に数店舗を持ち、週末は必ずといっていいほど演歌系の歌い手が店頭キャンペーンを行っていた有力店が長い歴史にピリオドを打ったことは業界に衝撃を与えた。

 この業界には「困った時は浪花モノを歌え」とか「演歌は大阪から」などといった伝説的な言葉がある。今もそうした言葉は生き続けており、本物を見抜く目と耳を持つファンによる価値判断が下される土壌も大阪が演歌・歌謡曲を育て、ヒット作りの原動力になっていることも事実であろう。その証拠に最近、大阪モノが多い。「大阪、あんたの街やから」(西山ひとみ)、「大阪さみしがり」(山本あき)、「泣いて大阪」(北川裕二)、「大阪恋あかり」(永井みゆき)など。

 演歌・歌謡曲市場は厳しい環境下にあるが、数字よりずっと大きいという印象がある不思議なジャンルでもある。CDショップが急激に減ってる中だが、カラオケサークルやカラオケ喫茶を訪問し、コツコツと商品を売り、同時にカラオケで作品の浸透を徹底するといった長い間培ったノウハウはこのジャンルならではの大きな武器である。

 どの世界でも日々努力を重ねるとある日突然大きくブレークする瞬間がある。演歌界も例外ではない。長くこの世界にいて長年の努力が開花した、そんな歌い手を何人も見てきた。要するにやる気、根気、情熱、そして豊かな感性を磨けばそれなりの結果は出ることを忘れないでほしい。と同時にあまり結果を急ぐと本質を見失う危険があることも忘れてはいけない。

文:金丸