Kenjiro:亡き母への想いを込めた新曲「母の詩~白いカーネーション~」
新曲シングル「「母の詩~白いカーネーション~」
デビュー作「冬恋かなし」が今なおカラオケファンの愛唱歌として絶大なる人気。この世界ではアーティストとしてはまだ認知度はそれほどではないが、彼の歌には独特の魂が宿っている。これまでの作品のほとんどは女性が主人公だったが、今回は初めて男性を主人公に取り組んだ傑作。加えて初めてチャレンジする本格的なバラードだ。まさに初モノづくし。
「デビューした年の暮れに母親が他界しました。母子家庭だったこともあり母への想いは強かったですね。母を失くして10年。これを機に1つの節目を付けたいなぁ~そんな思いでディレクターにオリジナルの母ものが欲しいとお願いしたんです。作詞家の円先生にはとってもいい詩を書き下ろして頂き、ただただ感謝のひと言です」と制作への経緯を熱っぽく語った。
取材に当たって、新曲を何度も何度も聴いた。車の中、居間、仕事場等々…、聴くたびに当方の目頭が熱くなる。年のせいかも知れない。「歌っているとやっぱり生前の母の事を思い出しますね。情景が浮かんできますよ」。詩の中で一番印象に残るところは?と水を向けると 「そうですね、 2番の♪言い訳せずに あなたにもっと 合いに行けば良かった・・・」と間髪入れずにそう応えた。分かる 分かる、と思わず当方相づちを打った。
この作品でKenjiroの新たな魅力を引き出したのが南乃星太氏。ヒット中の上沼恵美子の「時のしおり」の作曲家で今歌謡界で話題を呼んでいる新進気鋭のメロディーメーカー。
「先生とはこれまでレコーディングの時に何回もお会いしていました。色んなアーティストの方々のレコーディングディレクターとしてご活躍されている先生なんです。偶然にもそんな素敵な先生に新曲を書き下して頂き感謝です」。
音楽界は新型コロナウイルスの影響でキャンペーンはほぼ止まったまま。Kenjiroもそんな1人だ。「せっかく新曲を出したのですが、残念です。でも誰の責任でもないし、今はただただ辛抱するだけです。とってもいい作品ですのでこれからじっくり時間をかけ代表作にしたいです」と結んだ。
*記者のひとりごと
実力派だ。デビュー作の「冬恋かなし」がその力を証明している。歌世界は未だに事務所の力加減が先行している様に思う。実力がありながら本来の力を発揮できない人も多いのも確かだ。彼の歌は「KOBE流行歌ライブ」で何回か聴いた。そんなステージを観るにつけ彼の表現力、メロディーが直接的に詰め寄ってくるしそのパワーについつい吸い込まれた事を覚えている。今回の新曲は母もの。以前ライブで島津亜矢の「かあちゃん」を歌った。記者は思わず「いいねぇ」と呟いた。同時に「こんな歌も歌えるんだ」と彼の新たな発見もした。潜在力はしっかり行動(歌って)して初めて評価される。最近のアーティストの歌を聴いていると総体的に歌が小さくなっていると感じる。昭和のいい時代は歌にスケール感があったように思う。彼の持ち味でもあるその「スケール感」を更に前面に出し、同時に誇示してもいい。自信を持ちなさい、Kenjiro。