先日あるCDショップの若い店長とランチを共にした。世間話をした後は厳しい音楽業界の話しに終始した。それは自然の流れだったことはいうまでもないが、話の節々に「現状は厳しい…」そんなことを感じながらのランチタイム
音楽業界はいい時代もあった。バブル時代はミリオンヒット(100万枚突破)も沢山出た。当然CDショップの店頭は老若男女で大いに賑わったし日本社会の風景にも高貴な香りがプンプン匂っていた。そんな光り輝いていた光景をメディアはこぞって伝えた。音楽関係の取材をしていた当時、記者もCDショップの活気ある店頭の模様を報道したりヒットや新曲が出る度に有名ホテルでパーティーが盛んに行われた模様を伝えたものだ。

いい時代のCDショップの店頭は商品が大量に平積みされたり派手なPOPがムートを盛り上げるなど店頭は活気に溢れていた。人気商品は飛ぶように売れたし春商戦、夏期商戦、そして年間最大の需要期といわれた年末商戦(クリスマス商戦ともいわれた)の店頭の賑わいは半端ではなかった。それぞれの商戦にターゲットを絞った企画商品は店頭の一等地を占めた。

しかし、CD離れとともに急激に減少しているCDショップはここ数年風前の灯火だ。そうした中、ショップは店頭売りに加え、カラオケサークルやカラオケ喫茶などに出向き商品の販売に力を入れている。手売りという販売でとくに演歌・歌謡曲をメーンとしたショップはそれが生き残る戦略の1つと捉えている。一緒した店長もそうした戦略を取りながらの展開だという。ただ、ショップによっては得手不得手もあり全てのショップがそういった戦略を取っているとは限らない。今なお店頭に立ちユーザーと面談しながら販売するショップもある。同席した店長も「何とかもう一度店頭にお客さんを呼び戻したい」という。ただ、一端離れたお客さんを呼び戻すことは簡単ではない。色んな模索が不可欠だ。
ユーザーと一番近いメディアはCDショップの店頭であることをもう一度再確認してほしい。

文:金丸