先日大阪市内のCDショップがNHK「うたコン」のスタッフから取材を受けた。「うたコン」は「歌謡コンサート」からタイトル名を変更したもので「歌謡コンサート」時代はほぼ演歌・歌謡曲系のアーティスト一色だったこともありファンにとってはこのジャンルの最新の情報を知る上では貴重な情報源だった。今は演歌・歌謡曲のほかポップス系などの歌手も出演している。

取材日の当日はショップの社長以下、スタッフも勢ぞろい、取材に備えて待機していた。「NHKは全国ネットだし、そりゃ期待してましたよ」とスタッフの1人はその日のことを楽しみにしていたという。記者の手元には放送予定日の5日ほど前、同店の社長から「うたコンで当店が取材されましたので当日の番組を是非観て下さい」―そんな内容のハガキを頂いた。聞くと投函した枚数は約50枚。そのほとんどが「がっかりした」ことは言うまでもない。記者もその一人だ。仕事の関係で同CDショップとは行き来があり社長とはもう30年以上お付き合いをしている仲だけに大変楽しみにしていたと言うのが正直な気持ちだった。

ところが・・・最後までテレビを観ていても一向に肝心の映像が映らない。「どないなってんの…」とテレビの前でひとり呟いた。翌日、朝一番で同店を訪問したところ、「場合によっては時間の関係でカットとなることもありうる、とは聞いてましたが結構長い時間取材があったので少しくらいは…」とは店長の弁。当日はその場を盛り上げるためお笑いタレントも来店したらしい。

NHK側の言い分も分からないでもないが、最初から?が付くくらいならやめとけばよかったのに、と思うのは記者だけではあるまい。経費もかかるだろうに、と心配するがそこが国営たる放送局の驕りだ。

同店はもう60年以上の歴史のある大阪府下では二番目の老舗。厳しい音楽業界の中にあってこれまで勇気づけ元気づけてくれた業界の灯りを消すまいと、今年90歳を超え今なお店頭に立ち続けるオーナー社長の姿を是非全国に紹介してほしかった、との思いが強い。音楽業界は表面的には整然としているように見えるがメーカー、ディーラー、そしてメディアとの間にあった確かな潤いなど欠落したものも多いように思う。NHKさん、せっかく収録したのだから厳しいショップの現状を全国に伝え同時に業界に手を差しのべてほしかったネ。別な形でもいい是非改めて放送願いたい。

文:金丸