「しぐれから雪になる様を主人公の女性の切ない想いに重ねてブラジル人の男性演歌歌手が、しかも艶歌をスケール感大きく歌う…、なんていうのもいいでしょ?」

“1万8000キロ離れたブラジルから日本の演歌(魂)を歌いに来た男”のキャッチでデビューして2020年で5周年。10年前の来日と同じ5月20日にリリースした艶歌の新曲「しぐれ雪」(作詞:坂口照幸/作曲:宮下健治/編曲:猪股義周)を歌うエドアルド(テイチクエンタテインメント)。


新曲シングルCD「しぐれ雪」

「『雪しぐれ(時雨)』という曲タイトルはよく耳にしますが『しぐれ雪』っていうのは余り聞かないでしょ?リリース前にネットで検索しましたがたぶんこの曲が初めてではないでしょうか? 液体の雨が(雪の)塊になるなんて…」と、歌詞の世界観に感銘を受け新曲タイトルについても自分なりに研究。各コーラス最後のフレーズの♪あぁ~の押し引き加減にどこか大川栄策さんの歌唱法を彷彿させるなぁ~などと勝手に思っていたところ1stアルバム「熱唱!! エドアルド」(2017年発売)に「さざんかの宿」(カバー曲)が収録されていた。今回メイン曲で初めて女歌に取り組むにあたっては、「前作『じょんがらひとり旅』のカップリング曲『来し方の宿』が艶歌だったんですが、この作品がとても好評でしたので次の新曲では少し優しさを加えた恋歌を歌わせたい、とのスタッフの意見を取り入れて実現しました。すんなりと歌えましたしカラオケファンには馴染みやすい作品だと思います」。

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ブラジル・サンパウロに生まれたエドアルド(本名の一部)が日本の演歌・歌謡曲に惹かれ、歌手を目標としたのは生後二日目に育ての母となる「ナツエさん(日系2世)」の家族の一員となったことも大きく影響している。「ブラジルにいる叔父さん(日系2世で母の兄)がとっても歌が好きで歌手になりたかったそうなんです。特に森昌子さんの大ファンだったので、僕が日本で歌手デビューしてから撮らせて頂いた森昌子さんとのツーショット写真をプレゼントしたらとても喜んでくれたのと同時に、日本で演歌歌手として頑張っている僕を誇りに思ってくれたのは嬉しかったですね」。
小学生の3年間ほど京都にいた時期もあったというエドアルド。短い間とはいえ子供の頃に日本の文化に親しんだことで日本への憧れ感がより増していったのだろうか―。そんな彼の悲願だった歌手デビューに欠かせない方がいる。2001年に日本で行われたNAK(日本アマチュア歌謡連盟)が主催するグランプリ大会でブラジル代表として出場し、17歳にしてグランプリを受賞した時の審査委員長を務めていた芸能界の大御所的存在の小西良太郎氏との出会い。多才なキャリアを持つ氏と初対面のエドアルドは当時150㎏を超す巨漢だったそうだが「どうしても歌手になりたかった僕に棟梁(=小西良太郎氏のこと)が『歌は良いんだけど相撲部屋にでも入るの?』と冗談交じりに言って下さいまして…。何より“歌は良い”と褒められた事が一番嬉しくて歌手を目指す決心がついたんです」。
 この言葉をバネに約80㎏以上の減量を経ての本格的な来日が10年前の5月20日、26歳の時。「自分の中で歌手になるんだったら日本で!という思いがありましたので約一ヵ月の間に住む場所からバイト先まで全て自分で決めて一人で日本へ行く準備をしました。誰も反対しなかったですね」。強い意志で即行動、日本では作曲家・あらい玉英氏の下で歌のレッスンを重ねた翌2015年、母への想いを綴った「母きずな」で念願のデビューを果たした。
そして、ブラジルでの忘れることのできないもう一人の方が今回の新曲のカップリング「あなたこそ道しるべ」(作詞:坂口照幸/作曲・編曲:鈴木 豪)の歌詞と重なるという恩師の北川朗久氏(ブラジル日本アマチュア歌謡連盟の名誉会長を務めるなど日本とブラジルの歌の架け橋に尽力し2020年1月に他界された)の存在だ。
「ブラジルでは北川先生に歌のレッスンはもちろん日本語や日本の礼儀作法について基礎からみっちりと、とても厳しく教えて頂きました。そんな北川先生への感謝の気持ちをいつか歌にできれば…と思っていた時にこの作品をいただいたんです。2019年5月に北川先生が日本に来られた時に話された『やっぱり日本は最高だった』との言葉を今でも忘れません。カップリング曲の歌詞を初めて見た時は(2番の)♪今、その教えに あなたの教えに~の部分に思わず涙がこみ上げてきました。この歌を歌い継いで行くことが北川先生への恩返しなると思って歌っています」。

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