若手の成長株として力強く前進している三丘翔太(テイチクエンタテインメント)。11月18日に発売される新曲「酒しずく」(作詞:麻こよみ/作曲:水森英夫/編曲:伊戸のりお)のヒットに精力的だ。ここ数年の演歌・歌謡曲界は若手の台頭が着実に進んでいる。そんな逸材たちのトップグループにいるといっても過言ではない。ただ、その多くが歌謡曲志向だが、三丘はデビュー以来、王道演歌一辺倒だ。「1つの路線を確立するのも不可欠だが、僕自身は演歌というジャンルの中で色んな演歌を歌っていきたいです」と演歌という範疇での模索を更に追及していきたいらしい。

エンターテインメント界はコロナ禍の蔓延で苦戦を余儀なくされている。音楽界も例外ではないし三丘自身も暫く開店休業が続いた。「仕事も一気になくなって家にいる時間が多かったですが、家では好きな映画やドラマのDVDなどを観て過ごしていましたし、一人住まいになってから自炊も経験していますので簡単な料理も作っています」と最近の生活ぶりをそう語る。勿論、近くのスタジオで歌や発声のレッスンを欠かせなかった。また、演歌への影響を受けたという祖母父が運営するカラオケ喫茶の改装の手伝いをするなど祖父母孝行もした。

ところで初の“酒もの演歌”の新曲「酒しずく」の前評判がいいが…、と水を向けると「最初の印象は難しい作品を頂いたなぁ~技術もいる、そんな思いでした」と意外な言葉が返ってきた。イントロから昭和のにおいが強烈に伝わってくる。このにおいが実に心地いいし、三丘のブランドを一気に高めた前作「燈台灯り」の路線を踏襲した王道演歌でもあり記者は「歌いやすいねぇ~」との思いだったが、三丘自身は「旋律にメリハリを付けるのに相当苦労した」と笑う。


新曲シングル「酒しずく」

また、この作品で印象的なのが歌詞。♪バスは二日に 一度だけ 山の谷間の ふる里よ~歌は最初の2行で決まる、とある大物作詞家が言った言葉を思い出した。きっと情景を浮かべながらの熱唱だろうと想像する。前作同様にカラオケファンにどうアピールするのかがヒットへの近道であろう。新曲のキャンペーンは作品が発売されてからが一般的だが、今回は発売2週間前からのキャンペーンと異例の事。早いアクションでスタートダッシュを狙っているに違いない。


11月20日は延期になっていたコンサート「三丘翔太ひとり大歌謡祭~ファーストコンサートへの道~」(午前の部と午後の部2回公演)が名古屋市の今池ガスホールで開催される。
「生歌を皆さんにアピールできる事の幸せを感じています」とは本音だろう。

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*記者のひとりごと
演歌・歌謡界は若手の成長が顕著だ。純烈に代表されるようにどちらかと言えば歌謡曲系の台頭が目立つ。そんな中、まだ地味な存在ではあるが演歌の王道をひたすら走る三丘翔太の存在が光る。祖父母の影響で演歌にどっぷり浸かり演歌歌手になった。ステージではオリジナルに加え、昭和の名曲をカバーする「翔太のお品書きコーナー」を設け懐かしい昭和メロディーを聴かす。ライバルとの差別化を図る意味もあるだろう。歌手にとって感性を磨く事は不可欠。感性は優しさでもある。三丘のステージは歌に、言葉に優しさがある。歌手にとって一曲、一曲、その瞬間がまさに真剣勝負。オリジナルは勿論、カバー作品にもそんな気持ちを忘れないでほしいね。そして昭和の名曲を是非歌い継いでほしい。三丘にはその第一人者になってもらいたい。