OL(広告/販促関係)としてまた、歌手としても活動している十川(とがわ)ももこ。2019年8月にフリーボードレコードから「なにわ色街思い出横丁」(作詞:林幸治郎/作曲:田浦高志)でメジャーデビューした。出身は神戸だが、今は大阪・大東市に住まいを移しOLと歌手の二足の草鞋を履いての活動だ。
デビュー前はクラシックやミュージカルにも興味を持ち専門学校にも通ったが、「気が付いたら演歌を歌っていたんです」と微笑む。そのきっかけとなったのが「憧れの1人」という、かつて中村美律子がオーナーで演歌ファンに大人気だったライブハウス「人生乾杯」でスタッフとして働いていた時に演歌に目覚めたらしい。以来、演歌にどっぷりはまり、演歌歌手を目指すようになった。
「そうなんです。身近に演歌と出会い、演歌の魅力を知りました。この店には既にプロデビューされている幸田和也さんもスタッフとしておられました」。幸田には先を越された?が、いまは追い付け追い越せの心境のようだ。
また、その歌唱力を買われ、某レコード・メーカーのカラオケの音多(音声多重)歌手としての経験もあり、この業界ではそれなりの実績を積んでいる。
デビュー曲の「なにわ色街思い出横丁」は飛田や今里、九条といった艶気ある地名のほか通天閣、天保山などを取り入れたノリのいいリズム演歌だが、彼女のハスキーボイスに加え高音にある種の魅力を感じたし、旋律に古さと新しさが見え隠れする妙に心をくすぐる作品に仕上がった。
「もちろん、歌を一生の仕事にしていきたいです。憧れの歌手は中村美律子さんであり島津亜矢さんです」と言う彼女。今はマネージャーもなしで、1人で各地を行脚する日々だ。時にはカラオケ喫茶などへ飛び込みで「歌わせて下さい!」と懇願することもあるらしい。「それが自分の色にあってるんです」

素直で明るい。同世代にも演歌を広めたい、と屈託がない。歌心をつく感性はまだ十分とは言えないが磨けば必ず光るだろうし、世代を越えて受け入れられる歌手になれそう…そんな予感のする逸材と見た。まだ若いのだからエネルギーを自身の成長のために爆発させてほしいネ。(おかもと談)