演歌・歌謡曲市場を活性化させようと各地で様々なライブが開催されている。スタートしてもう20年以上続いているものもあれば最近始めたばかりのものまで歴史、内容は異なるが総じてそれなりの成果を挙げている、ともっぱらの評判。こうしたライブの先鞭を付けたのが今年22年目を迎えた「~私を世に問う~演歌ライブ」改め、「大阪発流行歌ライブ」(毎月第3水曜日)である。何分、毎月開催のこと。ブッキングが大変だが、過去には今や歌謡界を代表するアーティストに成長した水森かおり(10回ほど出演)を始め、氷川きよし、山内惠介、北川大介、三山ひろし、福田こうへい等々がデビュー早々にこのステージを踏んでくれた。このライブが評判を呼び九州や神戸など全国各地に拡がっている同様のライブのお手本になっていることも事実。

 大阪ライブがスタートして5年後に九州の「RKB毎日放送」ラジオ局のプロデューサーが来阪し「是非九州でもやりたい」と名乗り出た。断る理由もないし市場が活性化するならと即OKを出した。福岡で同局主催で「街角ふれあいライブ」(毎週第3木曜日)として立ち上がりもう17年が経つ。

 記者は大阪でのライブを立ち上げ昨年まで事務局長としてブッキングやスポンサー集めに奔走した。遅れること10年。阪神・淡路大震災で大きな被害を出した神戸市新長田のライブハウスで「KOBE流行歌ライブ」(アスタ流行歌ライブ改め)(毎月第3木曜日)を立ち上げた。記者もスタッフの1人として毎回参加。今は、同じ神戸市内の新開地(KAVCホール)に場所を移しての開催。当日は早朝、大阪を出発し現地では椅子を並べたり、リハーサルに立ち会ったり、終わればお客さんを見送る。スタッフが少なく当日は1日中、会場を飛び回っている。毎回そんなハードスケジュールだ。

 スタートした新長田会場が閉鎖することになり、もうやめようと。ところがお客さんから「勝手にやめるとはけしからん。楽しみを奪うのか」と非難ごうごう。急きょスタッフと会場探しに奔走。今の会場に落ち着いた、というエピソードもある。もう1つのエピソードを紹介しておく。新長田での開催日は近くの喫茶店が大繁盛。過去最高の売上げを達成した、と店のマスターから喜ばれた。

 ライブは30分前に開場するが、毎回常連のお客さんから「いつもご苦労さん」と、お菓子や飴を差し入れしてくれる。先日は風邪気味でマスクをしていたら「〇〇さんこれでも食べて元気を出しや~」と袋一杯に入った美味しいパンを差し入れしてくれた。神戸のお客さんはもちろん、遠くは四国の徳島、岡山からもお目当てのアーティストの応援にかけつけてくれるが、余談だがご当地の銘菓も時々持参してくれるのも楽しみの一つ。こうした戴きものは楽屋前に置きスタッフは勿論、時にはアーティストも参加し談笑しながら和気あいあいの中戴く。本番前のホッとする一時だ。

 10年も開催しているとお客さんの少ないこともある。常連客から「今日はちょっと少ないね。俺がPRしてやるから頑張りや」と叱咤激励してくれる。そんなお客さんも少なくない。ほんとうに有難い。

 それほど広い会場ではないが毎回ステージで熱唱するアーティストの一挙手一投足に暖かい声援を送ってくれる。それに十分応えてくれるアーティスト。そんな暖かい雰囲気を見ているとまるで母の懐に抱かれた様な温もりを感じる、とはちと言い過ぎか。もう還暦をとっくに過ぎ体力的にはきついが、楽しみに来てくれるお客さんの笑顔を見るにつき「頑張らなくては」と自らをふるいたたせている今日この頃である。

文:金丸