月に一度至福な日がある。その日は多忙だが、夕方から始まる仲間との飲み会(反省会)がその日のハイライトだ。毎月第3木曜日に開催している「KOBE流行歌ライブ」の日だ。演歌・歌謡曲市場の活性化に加え、阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた被災者を励ましたい、そんな思いからスタートしたイベントで早いもので今年もう15周年を迎えた。新長田から今の新開地・KAVCホールに場所を移し継続している。新開地は下町だが、昭和初期は東の浅草、西の新開地といわれたほど賑わいを見せていた。当時は映画館、劇場が30軒近くあったと聞く。昨年夏には新開地商店街に落語の小屋「喜楽館」が誕生した。新開地から落語を発信しようと神戸市などが企画、完成させた。そんな効果もあり人の流れに変化が出てきた、ともっぱらの噂である。

その日は早朝自宅を出て新開地の喫茶店のモーニングで腹ごしらえ。10時前に会場に入る。スタッフと簡単な打合せ後、当日の出演者の到着を待つ。出演者が揃うとリハーサル、打合せ。12時半開場、午後1時開演だが毎回、我々スタッフを暖かく包み込んでくれるのが大勢のお客さん。スタートして一度も休むことなく早朝から開演を待ってくれる熱心なお客さんも少なくない。「頑張りや、お疲れさん」、「今日はお客さん多いんか…。少なかったらPRしてあげるよ」等々、我々スタッフに労いの言葉を掛けてくれるし、常連さんからは「これ食べて元気だせよ」とパンやイチゴ、お菓子などを差し入れてくれることも少なくない。頂きものはスタッフ、出演者などにおすそ分けする。開演前のほっと一息つく時間でもある。出演者のステージを観るのも楽しいが時々「どんな歌を好んでいるのだろう」とお客さんの表情を見るのも楽しみの一つだ。

終了後は待ちに待った至福のひと時。昼はおにぎり1つだけに終演後のお腹はぺこぺこ、喉はカラカラ。一部のスタッフと近くの居酒屋に繰り出す。時には出演歌手も参加してくれる。反省会といってもただの飲み会ではない。行く先々で次回のチラシを配り、店頭でPRしてもらい、次の動員に拍車をかけることが狙いだ。そんな効果もありライブは時に満席になる事もしばしばだ。

毎回、三軒ほどはしごする。勿論、どの店も良心的な価格の居酒屋ばかりだが必ず寄るのがとある“立ち呑みや”。その店は新開地ではちょっとした有名店で全国の日本酒が揃っている。いつも笑顔で我々を迎えてくれるマスターは「今日はお客さん一杯やったんか?」とその日の状況を心配してくれる。時には「頑張りや」と値の張る日本酒を少しだけ?サービスしてくれる。連れの皆さんとの酒の肴はその日に出演した歌手の話題だ。「今日の○○さんはいい歌を聴かせてくれたねぇ~」と褒め言葉もあれは「あの作品は今一つだったよねぇ~」とそれぞれが評論家になり、ああだこうだと意見する。言いたいことを言うのもストレス解消だし、色んな意見に納得することもしばしば。ま、酒が入ると色んな意見が出る。それがこの飲み会のいい所でもあるし楽しみでもある。「この飲み会があるから頑張れるわ」と毎回グイグイいく仲間の満面の笑みが妙に心地よい。ま、こうしたイベントは和(なごみ)とスタッフ間の信頼関係があればこそだ。この業界でもう40年以上色んなイベントに参加してきたが、こんないい雰囲気のあるイベントは珍しい。

文:金丸