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消えかけた灯りに再び灯がついた―演歌系のビッグイベントとしてはおそらく全国で一番早くしかも実績があるだろう「関西歌謡大賞」(関西演歌大賞改め)が「2016にっぽん うたまつり」と改名し、10月6日兵庫県尼崎市の「あましんアルカイックホール」を会場に開催された。
スタートしてもう30年を超える全国にその名をとどろかせたイベントだが、後継者不足や市場の低迷…等々の諸事情で昨年は開催を断念した。しかし、「大阪から演歌の灯を消してはいけない」とCDショップの組合で組織する日本レコード商業組合関西支部の若手が立ち上がった。「何とか赤字を出すことなくやれた」とスタッフの一人は安堵の表情を見せたが、その裏には苦悩の日々があった。

開催当日、スタッフは早朝現地に集合した。それぞれの分担を再確認、早速本番に向け動いた。即売会に向けたゲストアーティストのポスター貼り、入場者向けのチラシの準備、カラオケコンクール出場者、アーティストのリハーサル…等々大きな問題もなく本番に向け作業は順調に進んだ。

その陣頭指揮を執ったのが準備委員会のリーダー的存在の内藤要一氏(CDショップないとうの代表取締役)。「全国にこんなイベントが必要であることを認識してほしいし、目を向けてほしい」と連日スタッフらと奔走した。記者も取材を兼ね開催当日の朝現場に向かいチラシ配布の準備を手伝ったが、例年より随分顔ぶれが違ったことに気付いた。中には慣れない作業に戸惑っているスタッフも見られたが必死に会場を走り回っている姿を見て「ほぉ~頑張ってるね」と呟いたものだ。

音楽業界が全盛期の頃はメーカーとCDショップの連携プレーはいろんな所で見られたが、ここ数年はそうした連携が崩れかけているように思う。背景には市場の低迷、CDショップの相次ぐ閉店…等々が挙げられるが、ずばり言えばメーカーの販促費が大幅に削減されてきたのが主因であろう。売り手も買い手もそして市場もいい時代には「製販一体」という言葉が頻繁に使われていた。つまりメーカー(製)とCDショップ(販)が切磋琢磨しながら市場を活性化しよう、という意味だがこの言葉はもう死語になってしまった。
 
東京には「大江戸うた祭り」があり九州には「博多演歌祭り」がある。いずれも盛況と聞いている。1年ぶりにタイトル名を改めスタートした「2016にっぽん うたまつり」のメンバーは一部を除き、現場での経験がないスタッフもいた。あるスタッフは「現場は今回が初めてで色んな面で大変でしたが、何とか成功し疲れも吹っ飛びました」と大粒の汗をかきながら満面の笑みで語る姿が印象的だった。心配された資金の一部はカラオケコンクールで捻出した。前回の入場者が700人と少なかった反省もあり今回は思い切って無料にした。結果、1200人の動員があった。内藤氏は「来年も開催する方向で準備をしたい」と前置きしながらも「課題もあるのでもう少し時間がいる」と、まだ決定には至ってないらしい。

演歌・歌謡曲市場は厳しい環境下にある。しかし、売れる売れないはひとまず置いてとにかく事を起こすという意味では価値のあるイベントである。とくに大阪は本物を見抜く目と耳を持ち会場に足を運び熱心に応援してくれるファンが今も多い。その為にも存続したいというスタッフの気持ちも分かるが、ただのお祭りに終わっては意味がない。

文:金丸