sanpomichi

前回の宮路オサムさんに続き、今も行き来のある歌手との出会いなどを回想してみたい。新聞記者を引退してもう6年程になるが、今年の5月からこのサイトを立ち上げたことに端を発し改めて取材活動に奔走する毎日。といっても当時の忙しさはないが、「今度は誰に会えるのか?」そんな事を想像すると毎日がワクワクする。

歌謡界は今もひと握りのミリオンセラー歌手の活躍が目立つ一方、圧倒的多数の苦戦組がヒットを目指し日々全国を行脚している。厳しい世界であることを改めて感じる今日この頃だ。前置きが長くなったが、今回は取材として久々に会った西方裕之と石原詢子との思い出話しを…。
2人ともデビューの時からの付き合いが続いている。西方はトラックの運転手から歌手に華麗?に変身した。デビュー当時の西方は余り目立たない存在ではあったが歌に声に新鮮さがあったしその真摯な態度に今も好感を持っている。早いもので来年デビュー30周年になる。もうベテランの域に入ったといってもいいキャリアだ。実績もあり貫禄も出てきた。会うとデビュー当時を振り返り、記者のことを「厳しかった」と笑う。当時からいいモノはいい、悪いモノは悪いとはっきり相手に伝えてきたつもりだ。自分の思いを正直にストレートに伝えたのが悪かったのか、少々反省もしたい、と言いたいところだが、まったく反省はしていない。今も自分流を貫いている。

デビュー当時の西方はアルコールは全く飲まなかったと記憶していたが、一昨年「KOBE流行歌ライブ」終了後、西方らとビアホールに繰り出した。冗談の積りで「飲む?」と聞くと照れくさそうに「飲みます」と生ビールを美味しそうに飲み始めた。ちょっと意外だったがジョッキを傾ける姿に何故かほっとした。飲み始めると顔も一段とほころび時折シャレも出るし、普段見れないイイ顔になる。多分デビュー当時から飲めなかったのではなく遠慮があったのでは、と想像する。いかにも西方らしい。30周年記念盤「焔歌」の評判はいいが、そろそろ演歌界に風穴を開けるような作品がほしい。記者の個人的な事だが西方の3作目♪下駄がからころ~から始まる「遠花火」をカラオケのレパートリーとして良く歌ったものだ。
今度はワインでも飲みながら演歌談義でもしたいネ。猥雑な居酒屋ではなくお洒落にイタリアンでも食べながら…どうかね。

もう1人は石原詢子。西方同様にデビュー当時から気になる存在でもあった。今もソニーレコードに在籍。ソニーと言えば今は演歌部門は縮小しているが、全盛期には石原のほか伍代夏子、藤あや子、渥美二郎、三門忠司、藤原浩、永井みゆき…等々演歌陣は充実。演歌部門でも実績面(売上高)でメーカーのトップになったこともある。石原は伍代、藤と「ソニー演歌の美人3姉妹」と持てはやされた。石原とはゴルフをしたり食事も良くしたが、いつも明るいキャラクターに業界関係者の間でも人気者だった。そのキャラは今も変わらないが「そろそろ浮いた話も出てもいいだろうに」と勝手に呟いている。両親を亡くした時のこと。声を掛けづらかったがその気丈な姿に精神力の強さを感じた。その強さが厳しい歌謡界にも脈々と生かされているのだろうと信じてやまない。 

文:金丸