一昨年、作詞家生活50周年を迎えたもず唱平氏の縁でこのほど大阪・大丸心斎橋劇場で行われたのが、今秋で落語人生丸六十年を迎える四代目 桂福團治師匠と、落語家を支える浪花女性の心意気を描いた新曲「笑売繁昌」(作詞:もず唱平/作曲:弦 哲也/編曲:南郷達也)を歌う川中美幸(テイチクエンタテインメント)が落語に初挑戦したジョイントライブ。桂福團治師匠の落語や川中美幸ミニライブなどで盛り上がった。

初挑戦の落語を初披露するにあたり開演前に、「もず先生が歌詞に出てくる『時うどん』を知っておくのも大事なことやで、と背中を押して下さいまして…。これを機に落語を知って自分のステージに生かせればと思い、もず先生のご縁で福團治師匠の手ほどきを受けました」と話していた川中。修得期間は多忙なステージの合間を縫っての約2週間程。「歌のステージはフリートークですが、落語には決まり事がたくさんありとっても難しい芸事です。『時うどん』に登場する三役の顔や手の振り方もそうですが、うどんを啜るところは特に難所でした。落語は聞くのと観るのとは全然違いますね。今回を機に今後ももっと『時うどん』を極めて歌のステージに生かしたい」―。


満員の客席では応援に駆け付けたもず唱平氏が見守る中、新曲を歌いながら登場した川中が「中学2年の時にスカウトしてもらった恩師のもず先生が今回のお話しを進めて下さいました。お陰で“歌の力と笑いの力は生きる力をもらえる”と改めて思いました。もの凄っごく緊張してますが、落語にチャレンジしたい!という私の気持ちだけでも皆様にわかって頂けたら嬉しいです」との挨拶で始まった大熱演の「時うどん」には最後まで笑いが絶えなかった。


(左から)もず唱平氏、川中美幸、四代目桂福團治師匠)

また、上方落語最古参の四代目 桂福團治師匠は、「落語を始めたのは昭和35年、今年の10月で丁度60年になります。川中さんは所作が綺麗で華があるし空気の読めるウィットに富んだ方ですね。落語は“想像芸”。お客様と一体になれる臨場感は何ともいえませんなぁ。歌手の川中さんが上方落語をされることで落語界に華が咲いたようです」―。
四代目 桂福團治師匠といえば、自身が一時期声が出なくなったことで聴覚障害の方も楽しめる“聴覚芸”と捉えた手話落語を思いつき全国的に広めた先駆者で、いまでは手話落語専門の弟子が約40名にも上る。
この日の前座を演じた18人目の初の外国人弟子の桂福龍(カナダ出身)については「何語で教えるんですか?」との問いにも「落語で教えます」…。

*10月には大阪・松竹座で「芸歴六十年記念公演」を行う。