望郷演歌を歌えば右に出るものなし、そんな歌い手が日本クラウンの千葉げん太だ。最新作の「望郷雪国/ふるさと船」(作詞:千葉幸雄/作曲:宮迫はじめ/編曲:蔦 将包)が一人歩きし始めた。まだ全国区には至ってないが初めて合った千葉は予想通りの飾りっ気のないナイス・ガイだ。

「望郷雪国」は「望郷波止場」(2016年)、「望郷三陸」(2017年)に続く“望郷3部作”の完結編で、兄弟を育てた母親への思いを郷愁を盛り込みながら分かりやすい言葉で歌った望郷演歌で千葉の真骨頂を発揮した傑作だ。
「この世界は大変ですが他に生きる道がないので自分を信じて夢を追い続けます」と望郷演歌を追い続けたいときっぱり。

演歌界の大御所・北島三郎に憧れ宮城県から上京。有名コメディアンなどの付き人を経験。今も脳裏に鮮明に焼き付いているのは憧れだった北島に新宿コマ劇場の稽古場で歌を聴いてもらったこと。故郷を離れ6年目のことだった。相当苦労したのだろう、と水を向けてみると「そうでもないんです。アルバイトをした記憶もないです。ある先生にデビューしたら歌を歌って飯を食え、その言葉を実践しています」。1976年に「トラック野郎」で念願が叶いデビュー。しかし、新曲を出してもCD等を売る時に必要不可欠なカラオケに一向に配信されず、「もう歌手をやめようと腹を決めかけた時に『望郷わらべ唄』という作品が届いたんです。この作品が初めて反響を呼び再出発をする楽曲となりました」と当時をそう述懐する千葉。以来、千葉の歌には望郷作品が多い。
そんな千葉にあらたな展開が…。カップリングの「ふるさと船」がジワジワと人気上昇で、A面に切り替わる可能性もあるらしい。「マイナー調の作品ですがこの作品を毎月CDショップ店頭で試聴できるダイジェスト盤に入れたことも影響しているのでしよう。じっくり聴かせるいい作品なんです」と熱っぽく語る千葉。勿論いい作品であることは否定しないが、せっかく「望郷雪国」をプッシュしてきたのだから簡単に切り替えるのはどうか?と思うのだが…。
「ここまでこれたのは全国のファンの方々のお蔭です。これからも望郷作品を歌っていきたい。自分の故郷があって良かったと思う。故郷は僕の宝です」という言葉に妙な説得力があった。

5月16日(木)には人気の「KOBE流行歌ライブ」(神戸・新開地KAVCホールにて開催)への出演が決まった。

*記者のひとこと*
念願だった千葉げん太に会うことができた。予想通り素朴で素直な語りに終始納得した。故郷を愛する気持ちを優しく、そして暖かく包み込んでいく様は故郷がある者にしか経験できないまさに宝物であろう。上京以来、辛く苦しい時代もあったと想像するが、そんな事を微塵も感じさせない。歌が好きこそが最大のモチベーションであること、そして千葉の飾らない人柄ゆえんであると想像する。芸能界には才能多岐の人は多い。しかし、才能はありながそれを発揮する人は意外と少ない。いい出会いに恵まれないのか、それとも努力が足りないのか。千葉には故郷という素晴らしい財産があるではないか。望郷演歌を更に極めながら大きな飛躍を生み出してもらいたい。努力を重ねることで心に描いたものが実現するのはそう遠くはないだろう。