§ TOPインタビュー

「彼女は将来必ず歌謡界の第一線で活躍する」。 昨年、朝花が出演した神戸でのライブ終了後、1人の紳士が真剣にそう呟きながら会場を後にした―。
2018年5月9日に台詞入りの「なみだの峠」(作詞:原 文彦/作曲:宮下健治/編曲:伊戸のりお)でデビューした演歌界の逸材、朝花美穂(徳間ジャパンコミュニケーションズ)の人気がうなぎ登りだ。
幼い頃から“演歌と大衆演劇が大好き”な朝花のデビューは19歳。昨年10月に誕生日を迎え大人の仲間入りをした。そんな朝花に20歳になった印象を聞くと「まだ実感が湧かないですね」と、歌うシーンとは真逆のあどけない語り口調で微笑んだ。デビュー曲は新人としては異例の売上1万枚を突破。群を抜いた歌唱力とテクニック、加えてステージでのパフォーマンス力には非の打ち所もないしこれ以上の褒め言葉も見当たらないが、真摯な姿勢で歌に向き合う様には今後もより一層の技と感性を磨いてほしいと願うばかりだ。
歌手を夢見た大きな要因は2014年に70歳で他界したカラオケ喫茶を営む祖母の影響だった。そんな祖母が生前、「いつかこの子を世に出さんといけん」というのが口癖だったらしい。今年3月6日には待望の台詞入り2ndシングル「出世街道旅がらす」(作詞:原 文彦/作曲:宮下健治/編曲:伊戸のりお)を発売する。
 
―歌手デビューのきっかけはNHK「のど自慢」の出演だったそうですね

「母が私に内緒で予選会に応募したのですが、予選を通過するとは思ってもみなかったんです。予選会には250組の応募がありましたが、それまではどんなステージでも緊張したことはなかったのに、初めて緊張したのを覚えています。天国のお祖母ちゃんにお祈りをしていましたので、きっと見守ってくれたのだと思いました。翌日の本番ではとにかく自分が楽しんで歌おう、と思いチャレンジしました。チャンピオンに選ばれた時は思わず飛び跳ねて喜びを爆発させてしまいました。その時に頭をよぎったのはやっぱり、お祖母ちゃんのことでした。終わってから携帯におめでとう!のメールを沢山もらったのを覚えています」

2016年に鳥取県三朝町で開かれたNHK「のど自慢」で祖母が大好きだった島津亜矢の「縁」を熱唱しチャンピオンに。これを機に本格的にプロ歌手を目指し2017年6月に上京、作曲家の宮下健冶氏に師事。2018年5月のデビュー曲「なみだの峠」は「日本作曲家協会音楽祭2018」の奨励賞を受賞した。

―歌手としてデビューしたい、そんな思いはいつ頃から芽生えたのですか?
「幼少の頃からそんな願望はあったのだと思いますが、今になって思えば、NHKの歌謡コンサートを毎回観ていて“歌手になりたい!”という思いが強くなったのは事実です。ステージで歌っておられる歌手の方もそうですが、時折映される会場一杯のお客さんの姿に『すごいなぁ…』と思ったりしていました。たぶん、その時は自分がステージに立っていることを想像していたのかも…。それからは“歌手になる!”という希望がメラメラと湧いてきたのを覚えています」

地元・米子市でカラオケ喫茶を営む祖母の影響で物心がついた時から歌手になりたい、その祖母と共演した舞台で体得した踊りも極めたい、と芸能道をまっしぐら―。

―影響を受けたお祖母ちゃんからはどのような指導を受けられたのですか
「歌はもちろんですが、舞踊では足の運びや手の動かし方などを細かく教えてもらいました。でも中々理解できなくて…。そんな時はお祖母ちゃんから、『もう辞めてしまえっ!』とよく怒鳴られました。3歳の頃に初舞台を踏みましたが、とにかく芸ごとには厳しい人でした。舞踊の基本はお祖母ちゃんに教わりましたが、今の新舞踊や台詞は自己流です」

“師匠”と慕う祖母がいつも用意してくれた衣装や鬘を身に着けて舞台を務めることも多々あったが、時に鬘が重すぎて本番中に取れた事も―。失態でパニックのなか舞台に出ることに臆病になっていた時も祖母は、「笑顔を忘れず、どんなことがあってもステージに穴を開けるな!」と一蹴。それからは今に至るまで自身で納得したテージが殆どないという。

―デビューして約1年が経ちますが今の心境は?
「ほんとうにあっという間でした。短い時間の中でいろんな事を学ばせていただきました。最初の頃は新聞や雑誌のインタビューもおどおどしていましたが、いろんなアドバイスをいただいて、歌手としてもっともっと頑張ろう、そんな意欲が湧いてきました。少しずつですが自信も出てきましたし、今は楽しくてしょうがない、そんな心境です。これからも真っすぐに進みたいと思います」

このインタビューの直前に朝花のステーシを改めて観たが、デビュー間もない頃に比べて確かに成長したと感じた。その一因なのか、2018年に出演したNHK「きらめき歌謡ライブ」で憧れの先輩歌手・島津亜矢と共演した際には声を掛けてもらい、感激のあまり涙が止まらなかったと当時の胸の内を話す。

―デビュー曲「なみだの峠」は乳飲み子を手放した母親の心境を台詞入りで歌っておられますが
「生き別れた母娘演歌なんですが、最初は歌詞の内容にどきっとしました。でも、大好きな台詞入りなので嬉しかったです。まだ結婚もしていないし子供もいないので、詞の内容を理解するのには少し苦労しましたが、母親になりきって情景を浮かべながら歌っています。こういった力強い演歌が好きなので、これからもしっかりと歌っていきたいです」

―大衆演劇が大好きだそうですね
「時間を作ってはよく観に行きますし、なるべくいろんな所に出掛けています。演出面でも大変勉強になりますし、将来はできることなら歌舞伎座のような大ホールで座長公演を是非やってみたい!、なんて思っています」

―ところで、プライベートで今凝ってることは?
「20歳になったので?お肌の手入れには気を使っています。これまで余り興味はなかったのですが、ヘアメイクとかお肌にいい化粧品をデパートなどに出掛けて見聞しています。お陰でいろんな商品を見に行くのが好きになりました」

―2018年7月に鳥取県「大山ブランド会」親善大使、11月には米子市観光協会「米子ふるさと観光大使」に就任されましたね
「デビュー曲のカップリング『伯耆大山』は恩師で作詞家のさとうしろう先生が鳥取県の名峰・伯耆大山が昨年開山1300年を迎えたのを記念して書き下ろして下さったのですが、お陰でデビューの年にこんなにも素晴らしい大使に任命していただけました。これからも鳥取県を全国にPRして盛り上げたいと思っています」

新曲のカップリング「がいな祭」(作詞:さとうしろう/作曲:宮下健治/編曲:伊戸のりお)はデビュー曲のカップリング同様、朝花をデビューへと導いた同郷の恩師で作詞家のさとうしろう氏が書き下ろした作品で、米子で毎年7月の最終土日曜に行われる大祭「がいな祭」をテーマにした威勢のいい祭り歌。朝花の魅力が存分に発揮された注目に値する作品だ。

―最後に今年3月6日発売の2ndシングル「出世街道旅がらす」についてお聞かせください

「今回もデビュー曲と同様の台詞入りですが、主人公が故郷を離れて夢に向かって旅をする元気の出る“おとこ歌”です。2作続けてお芝居演歌の作品をいただけてとっても嬉しかったです。この新曲で少しでもステップアップしていけるよう、歌に磨きをかけていきたいと思っていますのでぜひ期待して下さい!」。

*記者のひとこと*
メディアがこぞって称賛している演歌界の有望新人だ。最大の売りは迫力満点の歌唱力だが、デビュー曲で見せている台詞も大きな武器と見た。歌以外は自己流というが、ステージで見せる凛々しい姿に観衆の視線が眩しいくらいに熱い。ミリオンヒットが相次いだ昭和時代は聴き手を歌とテクニックでねじ伏せプロの実力を見せつけた歌手は多かった。しかし平成時代に入り、そうした聴き手をねじ伏せるような歌い手にはめったにお目にかからない。歌唱力、テクニックなど歌い手にとって必須条件は完璧だし、おそらく流行歌ファンの期待を裏切ることはないだろう。これまでの歌い手は全てとは言わないがなだらかな成長はなかったように思う。あることを転機に成長していくが、朝花はデビュー曲でいきなり転機が来た。次の新曲で新たな転機が来るのか、それとも数年後なのかは頑張り次第だ。これから人生の喜怒哀楽を力強く、そして爽やかな笑顔で表現してもらいたい。朝花美穂の魅力を知るにはズバリ、生のステージだろうか。

インタビュー&photo:金丸

 
<主なスケジュール>
*2019年3月14日(水) 米子市公会堂大ホール(鳥取県米子市)にて「朝花美穂歌謡コンサート新曲発表会」出演

*2019年4月24日(水)ROCKTOWN(大阪市阿倍野区)にて「絶唱ライブOSAKA<Ⅲ>」出演

*2019年6月27日(木) 新見新歌舞喜座(岡山県新見市)にて「朝花美穂 華の廻り舞台」出演

*スケジュール詳細は朝花美穂オフィシャルサイトをご覧下さい
https://asakamiho.jp/free/schedule