「初登場1位の知らせを聞いて震えがきました」
そう語っているのは新曲「よされ三味線」(作詞:仁井谷俊也/作曲:岡 千秋/編曲:伊戸のりお)がオリコンチャート演歌部門初登場1位という快挙を成し遂げたテイチクエンタテインメントの小桜舞子。昨年11月には前年に続きブラジル公演に挑んだ。

新曲は今も楽曲としての評価が高い「母娘(ははこ)じょんがら」(平成21年発売)を彷彿させる民謡演歌で、言葉をしっかりとストレートにしかも大胆な歌唱がこの作品の最大の魅力と見た。同時にイントロがカラオケファンの心をくすぐっているのもセールスを後押ししている。
「今も評判のいい『母娘じょんがら』が私の心に残っていたので楽しみにしていました。ただ、新曲を書き下ろしていただいた仁井谷先生の訃報が届いて…」と故仁井谷氏の話になるとトーンも下がり気味。レコーディングの当日は氏がレコーディングの時必ず座っていた場所に白い花を飾って臨んだという。
「先生に作っていただいた作品はいつも先生に詞の意味を聞きながら理解していましたが、今回は先生だったらこう言われるだろう、と想像しながら歌入れをしました。私のいい所を引き出していただいた作品だと思います。内容的には怖いくらい女の情念ですが詞にはいろんな諸説があります」と諸説紛紛と理解してほしいらしい。また、正統派演歌に仕上がったカップリングの「くれない水仙」の評判もいい。「この作品は先生の人柄を思い出しながら歌っています」。

新曲の発売は昨年の12月。一昨年発売した「浮世草」がこれまでの最高2位だったが、新曲はオリコンチャート初登場1位。「ほんとうに信じられなかった」と発売当時を回想するが、表情に笑顔はほとんどない。勝って兜の緒を締めよ、そんな心境と想像する。
そんな彼女もこの10日には商売繁盛の神様で知られる大阪・今宮神社の十日戎の宝恵駕行列に3年ぶりに参加した。「前回はブラジル公演が決まり、今回は新曲が初登場1位というご利益がありました。ハイ」と声が弾んだ。

そのブラジル公演を昨年11月現地のサンパウロで開催し、関係者と現地に飛んだ。「そもそものきっかけはSNSだったんです。最初はイタズラだと思ったほどです」という彼女。今回は1日2回公演だった。ステージは2時間半、オリジナルに加え昭和の名曲をカバーした。「ほんとうに歌手冥利に尽きますね」と最後にようやく微笑んだ。今年もオファーがきている。

*記者のひとこと*
2年後にデビュー20周年を迎える。和服姿もすっかり板に付いてきた。演歌界も男女とも世代交代が確実に進んでいる。今回の新曲で新たな境地をしっかりと掴んだし引き出しもまた一つ増えたのでは、と想像する。正統派演歌もいいが民謡演歌も味があっていい。これからは路線を固定せず押したり引いたり、そんな作品を目指したいらしい。慌てることはない。しっかりと感性を磨いていけば近い将来今も光り輝いている女性演歌陣のトップグループに躍り出る予感がする。