安定感のあるクリスタルボイスをウリにマイペースな活動を見せているテイチクエンタテインメントの松原健之。最新作「花咲線~いま君に会いたい~」(作詞:石原信一/作曲:幸 耕平/編曲:矢野立美)も前作同様に好ダッシュを見せている。
「まだ発売して一か月くらいですがとっても評判がいいんです。これまでの作品に比べてより身近なメロディーラインに―、そんな要因があるように思います。歌詞もサビの所をあえて繰り返している所が覚えやすいのだと思います。それほどキーは下がってはないのですが、聴く方はそう思っているようです。その辺がとっかかりやすいのでしようか…」と好調な要因を分析する松原。確かにこれまでの作品とは異なり、そう感じたファンは多いはず。その辺のテクニックはメロディーメーカーの戦略?でもあろう。

新曲の舞台は北海道。タイトルになっている「花咲線」は、北根室本線の根室から釧路までの愛称で海沿いを走っているたった一両のローカル線。その路線を舞台に男女の切ない愛、そして郷愁を盛り込んだ。“~いま君に会いたい~”というサブタイトルを入れたことについては「聴く方にこの意味を想像してほしい」と。
カップリングに収録した「通りゃんせ」は、1972年に発表された佐藤公彦のソロデビュー作品をカバーした。「これまでのカバー作品は自分のカラーを結構入れてきましたが、今回の作品はプロデューサーから佐藤さんの歌い方に忠実に歌ってほしい、そんな注文がありました」

デビューして13年目。松原にとってはまだまだ助走期間との思いだろうが、一歩一歩、力強く前進していることは確かだ。そんな松原に今年1年を振り返ってもらった。
「もう数年恒例化しているコンサート、そして9月からスタートした全国6会場でのライブツアーも無事終えることができとっても充実した年でした。新曲は通算15枚目になりますが、これからも1曲1曲を大切に歌っていきたいです」。
ライブツアーはピアニストと二人だけのアコースティックライブで、あのクリスタルボイスが冴えわたったまさに松原の真骨頂ともいえるライブだった。

*記者のひとこと*
個性派の少ない男性歌手の中にあってあのクリスタルボイスは他に類を見ない武器である。デビュー以来、急ぐこともなく自らのペースを堅持しながら確実にファン層を拡大していく様はお見事。仕事柄彼とは良く会うがいつも物腰が低く、しかも笑顔でこちらを暖かく包み込んでくれる好青年だ。まだ土台は盤石とはいえないが、世代を越えて幅広く受け入れられる歌い手になってほしいネ。スローペースもいいが、そろそろ貪欲に先を急いではどうだろう。