和歌山生まれの大阪育ち、今や押しも押されぬ演歌界のトップスターに君臨しているテイチクエンタテインメントの天童よしみが4月26日、大阪の梅田芸術劇場メインホールで「天童よしみ歌人生45年の軌跡」と銘打って3時間に及ぶ45周年記念コンサートを行った。

紆余曲折の末掴んだひのき舞台・紅白歌合戦ではトリも務めもう21回出場と紅白の常連にまで成長した。コンサートではデビュー曲の「風が吹く」から最新曲の「夕月おけさ」(作詞:水木れいじ/作曲:水森英夫/編曲:伊戸のりお)までアンコールを含む25曲を歌い切った。途中、節目節目の作品について制作意図や経緯などを笑いと涙で語った天童。きっと当時の色んな思い出が脳裏を揺さぶったのだろう、と推測する。
 

午後5時過ぎ、ステージ中央にスポットライトが当たりスケール感のある旋律が力強く響く中「珍島物語」でオープニング。「今日のコンサートは私の歌人生の軌跡として、歌とお喋りでお届けしたい。この45年は皆様に支えられてきた。ほんとうに感謝です」と語り、歌好きの両親の影響で3歳から歌い始めたことや、新歌舞伎座で美空ひばりの舞台に立ったこと、歌手を目指し大阪・八尾駅から父に見送られ上京した時のこと、スナックキャンペーンで汗を流したこと、紅白に初めて出演した時のこと等を感慨深げに回想した。

オープニング後は父が教えてくれたという「可愛いベイビー」「達者でナ」と続き、美空ひばりメドレーコーナーでは「リンゴ追分~おまえに惚れた~越後獅子の唄~悲しい酒~真赤な太陽」を一気に歌い上げた天童。美空ひばり公演の子役募集に応募、見事抜擢された当時の様子をユーモラスに語った。この後は「風が吹く」「生まれ昭和です」、そして大ブレイクしカラオケの必須曲としても今なお人気の「道頓堀人情」で前半を終えた。

休憩を挟んでの後半は「いのちの人」、紅白に初出場した時の歌唱作品「酒きずな」、そして異国の地であるベトナムで国民的愛唱歌として歌い継がれており自らも2003年にシングルとして発売した「美しい昔」、紅白に出場できたきっかけを作ってくれたというやしきたかじん(故人)の「やっぱ好きやねん」などを披露。「美しい昔」の時はこの作品がきっかけで行き来の続くベトナムから応援に駆け付けたというファンが客席で紹介され、「人生讃歌~渡る世間は鬼ばかり~」「女のあかり」「一声一代」と続いた後、アンコールに応え新曲の「夕月おけさ」、そして最後は「会場に駆け付けたお母さんに捧げたい」と「母と娘の生きる歌」で終演となったが、客席のお母さんに向かって「なんやお母ちゃんずっと聴いてたん。お母ちゃん大好き。お母ちゃんがいてくれたから頑張れた。お母ちゃんありがとう」そんなメサッセージをステージから贈った天童。親子の絆を感じた、そんな一瞬だった。


また、会場のファンに向けては「これからも色んなことにチャレンジしていきたい。スポーツの世界では世代交代とか言われるが、私はやめへんで、引退もせぇへん、頑張りま~す」と笑顔で永久現役を宣言した。

このところの演歌界は歌いやすく覚えやすい作品が当たり前の時代に入り、路線的には歌謡曲系にシフトする傾向が目立つ。カラオケを意識していることは払拭できない。天童にはこれからも王道演歌を貫いてほしいし極めてもらいたいと願う。「演歌はいい。元気が出る」父親が残したそんな言葉を忘れないでほしいネ。